「建設キャリアップシステム」という言葉をお聞きになられたことはありますか?

いよいよ本格的に登録が進められてきました。

今回は、いま官民一体となって推進されている「建設キャリアアップシステム」の登録についてお伝えします。

まる
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名前だけは聞いたことあるけど・・
ホントに必要になるのかなぁ。

「建設キャリアアップシステム」って具体的には何なのでしょうか?

名前は聞くけど、まだ中身がよく分からないって方はいらっしゃいませんか。

まずシステムって何のことでしょう??

すごく詳しい解説がたくさん出ているのですが、長くて量も多い。なかなか忙しい合間に読みこなすのは大変です。

そこで、内容を出来るだけかみ砕いてお伝えできればと思います。

建設キャリアアップシステムとは、簡単に言うと、建設業にかかわる一人ひとりの情報を登録して、いつでも見れるようにするシステムのことです。その人がいつ、どこの現場で働いていたか、どんな経験を持った人かなどが、一瞬で分かるようになるのです。

では、どのように使うのでしょう?

技能者の方は、現場に行ってカードでピッとするだけです。今は、顔認証で現場で入れるとも言われていますね。

カードは一人ひとりに個人情報を登録したカードが発行されますので、全員がそのカードを持ち歩きます。たずさわる現場でカードをピッとかざせば、誰がどの現場に何時に入ったかが分かる仕組みです。

事業者の方は、ネット上で各技能者の業務管理が出来ますので、一人ひとりの情報が一度に確認できるようになります。

大きな建設現場では、たくさんの業者さんが一斉に工事に携わることになると思いますが、その各会社の所属する技能者の方を一括して管理できる仕組みです。これまでの書類でデータを確認するのとは段違いに事務処理時間が短くなります。

では、その人がどんな人か分かれば、どのような良いことがあるのでしょうか?

例えば、事業者の方は、工事の現場に入る人が、どのような経験を持っているか、社会保険に入っているかが分かります。

大きな現場では工事に携わる人の数も多人数になりますから、現場責任者の方が毎回全員を把握していくのは時間がかかります。それを現場に来られた人から順にカードでピッとするだけで、誰が何月何日、何時に現場に入ったか、しかもその人は、どのような経験を持った○○会社の人で、社会保険には何年から入っているということが記録から分かります。それだけではありません。

万一、事故が起きた場合の連絡先はどこで、誰に真っ先に連絡すれば良いのか、この人の血液型は何型かなども分かるようになるのです。

これは、言わば会社側からの良いことですが、技能者個人にとっても良いことがあります。

現在は、若者の建設離れと言われるように、建設業を敬遠したり、一度は建設業にたずさわっても長く続かず離れていく人が多いそうです。

そこでこのカードがどのように役立つかというと、このカードに集約された情報によって、雇い主がこの人はどの現場で、どのような業務経験を持っているかを簡単に知ることが出来ます。

雇用主としては、通算された業務経験を適切に計ることができるため、この経験があるなら少し上の責任ある職務を任せてみようとか、会社に長くいて欲しいと思う人材には給料を少しUPしよう等、建設会社のこれまでの年功序列に基づく賃金体系を離れて個別のスキルによって賃金が反映されることが期待できます。

技能者個人としても、将来、個人事業主として独立したいと思っている人にとっては、自分の経験が着実に積み重なっていくので、目標に一歩一歩近づいていくことが励みになります。さらに、現場責任者などの経験を積むことで専任技術者になるための経験を証明するための資料として独立するときに役に立ちます。

建設キャリアアップシステムに登録することのメリットとデメリット⇒詳しくはこちら


「建設キャリアアップシステム」が出来た背景をみてみましょう。

ここからは、建設業の現場を担う人を「技能者」と呼んでいます。

建設業界の賃金規定は平均的に40歳前後でピークに達するそうです。ですが、40歳以上のベテランと呼ばれる人たちに割り当てられる現場で、管理能力や後進の指導といった経験にもとづく能力が適切に評価されていないという批判がありました。

また、複数の会社に勤め、様々な現場で経験を積んだ技能者の能力を統一的に評価する仕組みがなかったので、能力が適切に賃金に反映されていないという問題もありました。

これらの現状が、技能者の中でも特に若い層に建設離れを引き起こしているのではないか、ということで技能者の能力が統一的に評価される横断的な仕組みを官民一体で作ることになったのです。

「建設キャリアアップシステム」は、技能者一人ひとりをシステムに登録し、IDが付与されたICカードが交付されます。ICカードが各技能者を証明する機能を担うことになります。

このカードに、いつ、どの現場に、どの職種で、どの立場(職長など)で働いたのか、日々の就業実績として記録されていきます。他には、どのような資格を持っていて、どのような講習を受けたかといった記録も蓄積されていきます。

こうして蓄積された情報によって、技能者の評価が適切に行われることにつながります。賃金UPをはじめとする処遇改善、さらにはどの事業者が、人材を育成して優秀な技能者をかかえているかが見えるようになります。

このように、優秀な人材を育成し、また適正な処遇改善をすることにより建設業の働き手を確保して、建設業界の活性化をはかることこそが最終目的といえます。

登録が開始された当初は、なかなか数字が伸びていないのが見えていました。

毎月、何件登録されたか合計数が発表されていたのですが、目標数字とあまりにかけ離れていたので、消えてしまうんじゃないかと思って見ていました。業者さんもホントに必要かどうか分からなかったからでしょう。

ですが、周知するための予算が組まれ、周知策が次々に発表、実行されています。

2023年には全ての業者さんの登録を目標にしているそうです。

建設キャリアアップシステムの登録は、経営事項審査の加点事由になっただけではなくて、公共工事に参加するための必須条件にもなるそうです。実際、全国では次々に試みが行われてきています。

以上のことからすると、これから登録がどんどん進んでいくのだと思います。

新しい情報が出ましたら随時お知らせしたいと思います。

公共工事の参加を考えている方は
登録しておいた方がいいね~

お問い合わせがありましたので、気づきをお知らせしたいと思います。

昨今、建設業界においても外国人雇用が一段と増えてきました。建設業者様の中でも技術者の募集をかけているけれどなかなか思うように人材の応募が来ないということもあるかと思います。だったら外国人の方にお願いしてみようか、または、すでに雇われていらっしゃる同業者の方から進められて検討中ということもあるかもしれません。

お問い合わせがあったのが、外国人の方を雇うことになったけれど建設キャリアアップの登録は必要なのかというお話でした。

建設キャリアアップ(CCUS)の登録は2019年から運用開始され、徐々に浸透してきていますが、まだ登録されていない業者様もいらっしゃると思います。ですが、外国人労働者のうち建設業に従事する「技能実習生」「特定技能外国人」「外国人建設就労者」の方々は、2020年1月から登録が義務付けられています。従って、これらの方を雇用するには必ず建設キャリアアップの登録が必要ということになります。



ここで、外国人の方のビザの上記3種類の資格について見ていきますと、


まず「技能実習生」とは、技能実習制度を利用して技術を学ぶために日本に来られた方たちで、現在97%の人が、団体管理型に所属し監理団体(組合)に加入した建設業者の元で働いています。

来日した年は、1年間の予定で技術と日本語を習得し、更新許可期限の約4カ月前にある試験をクリアすると更新となり次年度も日本で働けることになります。技能実習生の方々は、監理団体が面倒を見てくださいますので、ご興味のある方は監理団体等にお問合せされると良いと思います。



次に「特定技能外国人」とは、特定技能制度にの制定により、国内で人材を確保することが困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れることを目的とする制度ができ、これによって働く人たちです。通常は、技能実習生の期間を満了した人、または特定技能評価試験に合格した人が該当します。

この場合は、人材紹介会社から雇用に至る場合もあり、技能実習期間が満了した次のステップになりますので監理団体を通していない場合もあります。従って生活面や労働条件など様々な対応を検討しておかなければなりません。受け入れ機関である自社が要件を充たすこと、支援計画の作成なども必要になります。必ずしも全てを自社で対応する必要はなく、第三者に依頼して計画を立てて雇用する必要があります。


さらに「外国人建設就労者」とは、オリンピック、パラリンピックに向けて施設整備のための人材不足解消のために、技能実習を終了した外国人を最大3年間建設業に従事させることができます。現在はオリンピックも終わりましたので、それに伴い制度も終了します。2020年末に就労開始した外国人は、2023年3月までの期間、日本で就労することができますが、新しい受け入れは終了していますのでこの種類のビザを持つ方は来年までということになります。



さて、この3種類の資格を持つ外国人を雇用される場合は、建設キャリアアップも技能者登録をする必要があります。

義務化した制度の趣旨は、まさに外国人労働者の管理にあります。行方不明になる外国人が増えていることも一因にありそうですね。


事業主様がやるべきことは、外国人を雇用してから速やかに建設キャリアアップの技能者登録をすることになりますが、まずは建設キャリアアップの事業者登録を済ませておきましょう。

兵庫県の入札業者登録は、2023年は中間年に当たりますので加点事由の申請になります。

そこで加点事由の変更点についてお知らせしたいと思います。

加点事由で増えた項目は「建設キャリアアップの登録」です。

こちらは6点あります。

まる
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建設キャリアアップシステムは略して「CCUS」とも言われてるよ。
公共工事には、全国でこのシステムが活用されているみたい。
これから、どんどんススメられていくんだろうね。

建設キャリアアップシステムとは、技能者の就業実績や資格をシステム上に登録して、技能の評価や工事の品質向上、現場作業の効率化などにつなげるシステムです。

簡単に言うと、技能者の血液型、誕生日などの情報や、その人が持っている資格を登録して、管理し、現場でカードリーダーを「ピッ」と通すだけで勤怠管理ができるものです。

これで何が良いかというと、事業者の面からみると労働者の勤怠管理が簡単にできること、技能者の面からすると、自分の職務経歴が積み重なっていくので、いざ独立したいというときに実務経験などの証明が簡単になります。

詳しくみれば、どの人がどの資格を持っているかなどが一目で分かれば、適材適所に人員の配置がきくなどのメリットもあると思います。

登録して使用していくとカードの色がステップアップするごとに変化していきます。


ただ、デメリットとしては、システムの使用料金がかかるということでしょうか。


事業者登録と技能者登録の2種類があり、技能者1人あたり(詳細型・・少し詳しい情報を登録するタイプ)4,900円のカード発行料がかかります。

事業者登録については、1人親方の場合は0円ですが、資本金額をもとに段階別に登録料が少しずつ上がります。500万円未満の場合は6,000円、1,000万円未満で12,000円です。

もう一つデメリットと言えるかもしれませんが、建設業者の技能者の方たちは、大抵たくさんの資格をお持ちですが、それらの登録をひとつずつする作業に手間がかかることでしょうか。

難しい作業ではないのですが、1枚ずつJPGで登録するところが少し手間に感じられるかもしれません。

今回の兵庫県の加点事由の建設キャリアアップ登録は事業者登録をしていることですので、簡単に済ませることができます。


この点、2023年8月31日以降の審査基準日の方から適用される経営事項審査の加点事由とは異なります。違いについてはまた、改めてご紹介したいと思います。



次の中間年の登録までにご検討いただければと思います。